なんもなんもは、北海道の会話で耳にするやさしい返し言葉です。ありがとうと言われたときのどういたしまして、ごめんねと言われたときの大丈夫だよ、という気持ちを短く伝えられます。
ただし、標準語の何もをそのまま2回くり返しただけではありません。場面によって、たいしたことないよ、気にしないで、問題ないよ、という相手を安心させる意味に変わります。
旅行先や会話の中で聞いたときに戸惑わないよう、意味、地域、使い方、似た表現との違いを順に押さえていきましょう。自分で使う場合は、親しさや場面に合わせると自然です。
なんもなんもはどこの方言でどんな意味か
最初に、なんもなんもの基本的な意味と地域を整理します。北海道弁として紹介されることが多く、感謝や謝罪への返事で使われる点を見ると理解しやすくなります。
主な地域は北海道
なんもなんもは、北海道の方言として扱われる表現です。北海道弁の紹介では、なんも、なんもだよ、なんもいいよ、なんもさといった形も一緒に説明されることが多くあります。
国立国語研究所の北海道方言に関する資料では、北海道のことばは開拓の歴史や各地からの移住を背景に、地域差と共通語化が重なって成り立ってきたことが示されています。そのため、北海道内でも年代、地域、家庭環境によって使い方やなじみの強さには差があります。
注意したいのは、北海道の人なら誰でも必ず使う、と言い切らないことです。方言は地域だけでなく、世代や相手との距離にも左右されます。聞いたときは北海道らしい返し方の一つとして受け止めるとよいでしょう。
基本の意味はどういたしまして
なんもなんもの中心的な意味は、どういたしましてです。誰かに手伝ったあとでありがとうと言われたときに、なんもなんもと返すと、たいしたことではないよ、気にしないで、という気持ちが伝わります。
標準語のどういたしましては少し改まった響きがあります。一方で、なんもなんもは日常会話の中でやわらかく返せる表現です。相手に負担を感じさせない返事として使いやすい点が特徴です。
ただし、職場の改まった場面や初対面の相手には、標準語のどういたしましてやお気になさらないでくださいのほうが無難です。なんもなんもは親しみのある言葉なので、相手との距離が近い場面ほど自然に響きます。
ごめんねへの返事にもなる
なんもなんもは、ありがとうへの返事だけではありません。ごめんね、遅れてしまってすみません、迷惑をかけたね、と言われたときにも、大丈夫だよ、気にしないでという意味で使えます。
この使い方では、相手の謝罪を強く受け止めすぎず、場をやわらげる役割があります。たとえば、少し待たされたときに、なんもなんもと返すと、怒っていないことや、問題にしていないことが伝わります。
ただし、深刻な失敗や正式な謝罪の場面では軽く聞こえる場合があります。相手が本気で謝っているときは、大丈夫です、こちらこそお気遣いありがとうございます、などの丁寧な返しを選ぶと安心です。
| 場面 | なんもなんもの意味 | 標準語に近い言い方 |
|---|---|---|
| ありがとうへの返事 | たいしたことないよ | どういたしまして |
| ごめんねへの返事 | 気にしないで | 大丈夫だよ |
| 遠慮されたとき | 遠慮しなくていいよ | 気にせず受け取って |
- なんもなんもは北海道弁として紹介される表現
- 中心の意味はどういたしまして、気にしないで
- 感謝と謝罪のどちらにも返せる
- 親しい日常会話ほど自然に使いやすい
なんもなんもの語源と成り立ち
次に、なんもなんもがなぜそのような意味になるのかを整理します。もとの形は何もですが、会話の中では相手を安心させる返事として働きます。
何もが短くなった形として見られる
なんもは、共通語の何もに近い形です。何もない、何も問題ない、何も気にすることはない、という考え方から、問題ないよという返事につながります。
会話では、すべてを言わなくても意味が通じることがあります。なんもという短い言葉だけで、何もたいしたことはないよ、何も気にしなくていいよ、という後ろの意味まで含めて伝わるのです。
そのため、なんもなんもを単に何も何もと直訳すると、会話上の意味を取り逃がします。実際の働きは、否定の言葉というより、相手の不安や遠慮を受け止める返答です。
2回くり返すことでやわらかくなる
なんもなんもは、なんもを2回くり返した形です。日本語には、同じ言葉を重ねることで、意味を強めたり、語感をやわらげたりする表現があります。
この場合のくり返しは、きっぱり否定するためだけではありません。なんも、なんもと重ねることで、ほんとうに気にしなくていいよ、という安心感が出ます。声の調子によっては、明るさや親しみも加わります。
ただし、文字だけで見ると軽く見える場合があります。会話で使うときは、笑顔や穏やかな声と一緒になることで本来のやさしさが伝わりやすくなります。
謙遜と気遣いが重なった返事
なんもなんもには、謙遜と気遣いの両方があります。ありがとうへの返事では、たいしたことをしたわけではないよという謙遜が含まれます。ごめんねへの返事では、気に病まなくていいよという気遣いが中心になります。
この2つが重なるため、なんもなんもは便利な返し言葉になります。相手の感謝を受け取りつつ、自分の行為を大げさにしない。相手の謝罪を受け止めつつ、責めない。短い言葉の中に、そのような会話上の働きがあります。
一方で、便利だからといって万能ではありません。強い謝罪、公式な場面、責任の所在を明確にする場面では、なんもなんもだけでは軽すぎます。場面の重さに合わせて言い換えることが大切です。
2回くり返すことで、気にしないでというやさしい響きが出ます。
感謝にも謝罪にも使えますが、改まった場面では標準語の丁寧表現が安心です。
- なんもは何もに近い形として理解しやすい
- くり返すことで安心させる響きが出る
- 謙遜と気遣いの両方を含む
- 重い謝罪や公式場面では使い方に注意する
なんもなんもの自然な使い方
意味を知ったら、次は実際の会話でどう使うかが大切です。感謝、謝罪、遠慮の3場面に分けると、なんもなんもの使いどころがつかみやすくなります。
ありがとうと言われたとき
もっとも使いやすいのは、ありがとうへの返事です。荷物を持った、道を教えた、少し手伝ったなど、相手から感謝された場面で、なんもなんもと返します。
このときの意味は、どういたしましてに近いですが、少しくだけた雰囲気になります。標準語にすると、いやいや、たいしたことないよ、気にしないで、という感じです。相手の感謝を否定するのではなく、負担に思わなくてよいと伝えます。
ただし、相手が目上の人や仕事上の取引先の場合は、なんもなんもだけではくだけすぎます。北海道出身同士の親しい会話なら自然でも、場面によってはどういたしまして、こちらこそありがとうございますを選ぶほうが安心です。
ごめんねと言われたとき
謝られたときのなんもなんもは、大丈夫だよ、気にしないでという意味になります。待ち合わせに少し遅れた相手や、軽い手違いを謝る相手に対して使うと、場をやわらげられます。
たとえば、遅れてごめんねと言われたときに、なんもなんも、今来たところだよと返すと、相手は安心しやすくなります。短い一言だけでも、責めていないことが伝わります。
注意点は、相手の謝罪を軽く扱っているように受け取られないようにすることです。相手が本当に困っているときは、なんもなんものあとに、大丈夫だよ、次から気をつければいいよなど、状況に合う言葉を添えると伝わりやすくなります。
遠慮されたとき
なんもなんもは、遠慮しないでという意味でも使えます。たとえば、お菓子をすすめた相手が悪いよと遠慮したときに、なんもなんも、食べていってと返すと、受け取ってよい雰囲気を作れます。
この使い方では、相手の恐縮をほどく働きがあります。強くすすめるのではなく、気にしなくていいよという空気を出せるため、北海道弁らしいやわらかさが出やすい場面です。
ただし、相手が本当に断りたい場合もあります。なんもなんもを使っても、無理に押し切るのは避けましょう。相手が遠慮ではなく辞退していると感じたら、無理しなくて大丈夫だよと引くほうが自然です。
| 会話の流れ | 返し方 | 伝わる気持ち |
|---|---|---|
| 手伝ってくれてありがとう | なんもなんも | たいしたことないよ |
| 遅れてごめんね | なんもなんも | 気にしなくていいよ |
| もらうの悪いよ | なんもなんも | 遠慮しないで |
- 感謝への返事ではどういたしましてに近い
- 謝罪への返事では大丈夫だよに近い
- 遠慮されたときは受け取っていいよの意味になる
- 目上の人や公式場面では丁寧語に言い換えると安心
なんもなんもと似た表現の違い
なんもなんもには、なんも、なんもだよ、なんもさなど似た形があります。語尾や回数の違いで、親しさやニュアンスが少し変わります。
なんもとの違い
なんもは、なんもなんもより短い形です。意味は近く、問題ないよ、大丈夫だよ、何もないよという返事として使われます。会話では、短く軽く返したいときに向いています。
なんもなんもは、なんもを重ねる分だけ、相手を安心させる響きが強くなります。たとえば、相手が恐縮しているときは、なんもだけより、なんもなんものほうがやわらかく聞こえる場合があります。
ただし、短いなんもは文脈によって、何もない、全然ないという普通の意味にもなります。会話の前後を見ないと、方言的な返事なのか、単なる否定なのか判断しにくい点があります。
なんもだよとの違い
なんもだよは、なんもに語尾を添えた形です。標準語に近づけると、大丈夫だよ、気にしなくていいよという言い方になります。なんもだけより、相手に向けた返事として分かりやすくなります。
なんもなんもは、短くても感情が伝わりやすい一方、なんもだよは文として安定しています。北海道弁に慣れていない人に使うなら、なんもだよ、気にしないでのように補うと意味が伝わりやすくなります。
ただし、語尾のだよは親しい相手向きです。目上の人に使うとくだけた印象になる場合があります。丁寧にするなら、大丈夫です、気になさらないでくださいに置き換えるとよいでしょう。
なんもさとの違い
なんもさは、会話の調子を含みやすい表現です。なんもなんもよりも、さらに口語的で、気楽な雰囲気があります。友人同士や家族の会話では自然に聞こえる場面があります。
一方で、北海道弁になじみのない人には、なんもさの意味がすぐ伝わらないかもしれません。なんもさだけで返すより、なんもさ、気にしなくていいよと続けると誤解を減らせます。
方言らしさを出したい場面では魅力がありますが、相手との距離を見て使う必要があります。相手が方言に慣れていない場合は、まず標準語の説明を添えると安心です。
なんもだよは意味が伝わりやすく、なんもさはより口語的です。
初めて使う相手には、標準語の言い換えを添えると誤解を防げます。
- なんもは短く軽い返事
- なんもなんもは安心させる響きが出やすい
- なんもだよは相手に向けた返事として分かりやすい
- なんもさはくだけた会話向き
使うときに気をつけたい場面
なんもなんもは温かい表現ですが、場面を選ばず使えるわけではありません。丁寧さ、相手との距離、謝罪の重さを見ると失礼を避けやすくなります。
改まった場面ではくだけて聞こえる
なんもなんもは日常会話の表現です。親しい相手にはやさしく響きますが、仕事の正式なやり取りや初対面の場では、くだけた印象になる場合があります。
たとえば、取引先からお礼を言われたときに、なんもなんもだけで返すと、相手によっては軽く聞こえます。北海道弁として親しまれる表現でも、相手がそのニュアンスを知っているとは限りません。
改まった場面では、どういたしまして、恐れ入ります、お気になさらないでくださいなどの標準語が安全です。方言を使う場合も、場が和んだあとに補助的に使うくらいが自然です。
重い謝罪には軽すぎることがある
ごめんねへの返事として便利ななんもなんもですが、深刻な場面では注意が必要です。相手が強く反省しているときや、実際に大きな影響が出ているときは、なんもなんもだけでは軽く流したように聞こえる場合があります。
軽い遅刻や小さな手違いなら、なんもなんもで十分伝わります。しかし、約束を破った、損害が出た、誰かが困っているといった場面では、まず状況を受け止める言葉が必要です。
その場合は、大丈夫です、ただ次からは早めに知らせてもらえると助かります、のように、安心させる言葉と今後の希望を分けて伝えるとよいでしょう。方言だけに頼らないことが大切です。
文字だけでは意味が伝わりにくい
なんもなんもは、声の調子や表情と相性のよい言葉です。対面なら温かく伝わりますが、文字だけのメッセージでは、知らない人に意味が伝わらない場合があります。
特に、道外の人に送る文章では、なんもなんもが何もないという意味に見えるかもしれません。相手が北海道弁に詳しくない場合は、なんもなんも、大丈夫だよのように標準語を添えると安心です。
また、冗談っぽく使うと、相手の謝罪を軽く見ているように見えることもあります。やさしく伝えたいときほど、短い方言に一言添える工夫が役立ちます。
| 場面 | 避けたい理由 | 言い換え例 |
|---|---|---|
| 初対面や仕事 | くだけて聞こえる場合がある | お気になさらないでください |
| 深刻な謝罪 | 軽く流した印象になる場合がある | 大丈夫です。次から気をつけましょう |
| 文字だけの会話 | 意味が伝わらない場合がある | なんもなんも、大丈夫だよ |
- 親しい会話では温かく伝わりやすい
- 仕事や初対面では標準語が無難
- 重い謝罪には状況を受け止める言葉を添える
- 文字では意味の補足があると安心
まとめ
なんもなんもは、北海道で使われることが多い、どういたしまして、気にしないで、大丈夫だよに近い返し言葉です。
まずは、ありがとうやごめんねへの返事として使われる表現だと押さえてください。実際に使うなら、なんもなんも、大丈夫だよのように標準語を添えると、道外の人にも伝わりやすくなります。
北海道のことばに触れたときは、意味だけでなく、相手を安心させる温かいニュアンスも一緒に受け取ってみてください。
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